明示とメタデータの実務
明示すること自体は簡単ですが、それを維持することは簡単ではありません。生成時に書き込まれた来歴マニフェストが2工程先の画像CDNで削除されれば、義務だけが残り、証拠は何も残りません。
3つの仕組み
| 仕組み | 内容 | 残存性 |
|---|---|---|
| C2PA Content Credentials | ファイルの作成過程を記録した署名付きマニフェスト | コピーには耐えるが、メタデータを削除する再エンコードには耐えない |
| IPTC Digital Source Type | 素材の出所がアルゴリズムによるものであることを示すメタデータ項目 | 他のIPTCデータと同じ条件 |
| 不可視ウォーターマーク | ピクセル内に埋め込まれた信号 | 再エンコード、リサイズ、ある程度のトリミングに耐える |
C2PAは最も情報量が多く、最も壊れやすい仕組みです。ウォーターマークは最も残りやすく、最も情報量が少ない仕組みです。どちらも他方の代わりにはならないため、両方を用い、さらに自社で記録を残すことが答えになります。
明示が失われる場所
- 画像CDN。大半がファイルサイズ削減のため、リサイズ時に既定ですべてのメタデータを削除します。これが最も多い原因です。
- ビルド処理。imageminやsquooshなどの最適化ツールは、明示的に指定しない限りメタデータを削除します。
- ECプラットフォーム。アップロード時に再エンコードし、独自の派生画像を生成するものが多くあります。
- フィード処理。URLをそのまま引き渡すのではなく、画像を取得して書き換える工程はすべて該当します。
- ソーシャルプラットフォーム。大半がアップロード時に再エンコードします。メタデータは残らないものと考え、ウォーターマークとプラットフォーム側の開示機能に頼ってください。
推測せず、必ず検証してください。生成画像1点を実際の処理工程すべてを通して公開中の商品ページまで流し、そのページからダウンロードしてメタデータを確認します。多くのチームは、2番目の工程で既に失われていることに気づきます。
自社で記録を残す
ファイル内に残るものが何であれ、自社で管理できる記録を残してください。アセットID、元となった写真、使用したツールとモデルのバージョン、プロンプトまたはテンプレートのバージョン、作業者、タイムスタンプ、そして公開先です。これは規制当局やプラットフォーム、顧客からの問い合わせに答えるための証跡であり、CDNの設定に左右されることはありません。
実務上の設定
- CDNの画像処理パイプラインで、メタデータの保持を明示的に有効にします。
- 生成済みであることが分かっているアセットが、処理後もマニフェストを保持しているかを確認するチェックをCIに追加します。
- マーキングを保持したオリジナルを、ウェブ用の派生ファイルとは別に保管します。
- プラットフォーム側でどのみちすべて削除される場合は、そのプラットフォーム自身のAIコンテンツ管理機能を使って開示します。
目に見える開示は別のもの
機械可読なマーキングは目に見えないものであり、ファイル内に持たせるべきものです。一方、画像が生成されたものであることを閲覧者に伝える「目に見える開示」は別の義務であり、より限定された状況で適用されます。またそれは画像に焼き込むのではなくページ上に記載すべきものです。画像に焼き込めばMerchant Centerで不承認となります。